子どもの泌尿器科

血尿・タンパク尿

トイレをする子供「血尿」とは、尿に血が混ざっている状態のことを指し、同様に「たんぱく尿」は尿にたんぱく質が混ざっている状態を言います。尿が赤く見える、泡立つなどといった見た目で気づくこともありますが、ほとんどの場合、子どもたちの学校や幼稚園で行われる定期的な尿検査で軽度の血尿やたんぱく尿が見つかります。これらの検査は、腎臓病を早期に見つけてすぐに治療を始めることが目的です。
血尿やたんぱく尿が見つかっても、必ずしも何かが悪いわけではありません。大丈夫な場合が多いのです。しかし、病気の可能性もありますので、検査が必要な場合もあります。
最初に血尿やたんぱく尿が見つかったとき、主治医は血液検査やエコー検査をおすすめするかもしれません。その結果異常がなければ、その後は定期的に尿をチェックし、症状が悪化しないことを確認します。このためには、根気強く定期的に病院に通うことが大切です。
血尿やたんぱく尿が多くなった場合、さらに詳しい検査や治療が必要になることもありますが、大半の子供は数年以内に回復します。
園や学校生活については、主治医に指導を受け、それに従うことが大切です。軽度の血尿やたんぱく尿であれば、日常生活に制限はほとんどありません。主治医から特別な指示がない限り、食事や運動を制限する必要はありません。

尿路感染症

尿路感染症は、おしっこの通り道(尿路)に大腸菌などの細菌が侵入することで起こる病気です。
膀胱炎という形の尿路感染症では、トイレの時に痛みを感じたり、頻繁にトイレに行きたくなるなどの症状が現れます。この場合、細菌を退治するために通常5日間ほどの抗菌薬を服用します。
一方、細菌が腎臓まで達してしまうと腎盂腎炎という病気になります。これは高熱を伴います。乳幼児の場合、不機嫌になったり食欲が落ちたりすることがありますが、これらの症状だけから尿路感染症を見つけるのは難しいです。だから、明らかな原因のない発熱があるときには、尿路感染症の可能性を考えて尿検査を行います。しかし、この病気は症状が明瞭でないことが多く、診断が難しいです。もし子供が咳もなく、鼻も詰まっていない、のども赤くないのに高熱が出ている場合、尿検査を提案することがあります。
年長の子供たちは、排尿時の痛み、頻尿、下腹部の不快感、腹痛、腰や背中の痛みなどを訴えることがあります。腎盂腎炎が確認された場合、大抵は入院が必要となり、1~2週間、抗菌薬の点滴治療や内服薬を必要とします。
子供の体調がすぐれないとき、特に明らかな原因が見つからない発熱がある場合は、尿路感染症の可能性があるかもしれません。そう思ったら、すぐに医師に相談してみてください。

陰嚢水腫

股を押さえる子ども男の子の中には、タマタマの袋(陰嚢)が大きく見える子供がいます。この原因は主に2つ、鼠径ヘルニアと陰嚢水腫があります。
鼠径ヘルニアは、腸が鼠径部(股の内側)から陰嚢へと突き出てきてしまう病気で、手術が必要となります。
一方、陰嚢水腫は、精巣の周りに液体が溜まり、その結果、陰嚢がふくらむ状態を指します。これは。生まれたばかりの男の赤ちゃんに比較的よく見られる状態で、体に害はないため、特別な治療をせずに様子を見ることが多いです。実際には、1歳までに95%の陰嚢水腫は自然に治ることが分かっています。しかし、1歳を過ぎても治らない場合、自然に治ることは難しくなります。体に直接の害はありませんが、見た目の問題(美容的な理由)から手術が必要となることもあります。

停留精巣

停留精巣は、精巣(タマタマとも呼ぶ)が陰嚢(おちんちんの下の袋)の中に降りてこない状態を指します。これは、期日通りに生まれた男の子100人中、おおよそ3人に見られます。早産のお子さんでは、この頻度はもう少し高くなります。
赤ちゃんがお腹の中にいる時、精巣はお腹の中に存在します。しかし、生まれる前に精巣は陰嚢まで移動し、降りてくるはずです。ところが、その途中で移動が止まってしまうことがあり、これが停留精巣の原因となります。
生まれてから6ヶ月までには、自然に精巣が陰嚢へと降りてくることがありますが、それ以降は自然には降りてきません。したがって、6ヶ月を過ぎても精巣を陰嚢内で触れない場合、治療を考えるべきとなります。
精巣が陰嚢に降りる理由は、思春期(12~15歳頃)になって精子を作り始めるためです。この時、精巣は体温よりも1~2℃低い環境が必要となるためです。停留精巣があると、将来的に精子を作るのが難しくなったり、精巣腫瘍になるリスクが高くなることが知られています。そのため、停留精巣は治療が必要な病気と言えます。
しかし、停留精巣とよく似た病気で、診断が難しいものに移動性精巣があります。これは、精巣周囲の筋肉の収縮により、精巣が陰嚢よりも上に移動しやすくなる状態を指します。これは生後6ヶ月頃から症状が出始め、思春期前後で自然に治まることが多いです。お風呂に入ってリラックスしている時などに、左右同じ大きさの精巣を陰嚢内で触れることができれば、それは移動性精巣と考えられ、基本的には特別な治療は必要ありません。

亀頭包皮炎

亀頭包皮炎は、おちんちんの先端部分(亀頭)とその周囲を覆う皮膚(包皮)の間に細菌が侵入し、感染を引き起こす病気です。
お子さんの大半は包茎で、包皮の内側は細菌が増殖しやすい環境になっています。
包茎だけでなく、おむつやパンツが湿って蒸れる状況、手が汚れたままでを触ったり、またはお風呂で適切に洗わないことなどが、亀頭包皮炎を引き起こす原因となります。
亀頭包皮炎になると、亀頭や包皮が赤く腫れたり、膿が出たりします。重度の炎症の場合、おちんちん全体が腫れて出血することもあります。また、排尿時に痛みを感じることもあります。
亀頭包皮炎の治療としては、抗生物質の軟膏の塗布や抗生物質の内服が行われます。しかし、病気を予防することも非常に重要です。そのためには、無理に包皮を剥くことは厳禁ですが、お風呂でやさしく洗うこと、汚れた手で触らないようにすることが重要です。

子どもの包茎

男の子のおちんちんには、頭の部分(これを「亀頭」といいます)を覆っている皮があります。これを「包皮」と言い、その皮が完全に亀頭を覆っている状態を「包茎」と呼びます。男の子が生まれたときは、ほとんど全てが包茎の状態です。
それが自然に皮がむけるようになるタイミングは、人それぞれ違います。成長とともに少しずつ変わっていきますが、思春期(14歳から15歳頃)までに包皮が完全に引けるようになる男の子もいれば、ならない子もいます。多くの場合、思春期を過ぎると、自然に皮が引けるようになることが多いです。
それまで特に問題がない、つまり尿路感染症などの症状がなければ、包皮が完全に引かないだけで心配することはありません。特別な手術や治療をする必要はないのです。

おりもの・外陰膣炎

女子トイレ女の子のおむつやパンツに、何かついていることに気づくことがあるかもしれませんね。透明から薄い白色の液体、それが「おりもの」です。これは体が自然に出すもので、普通なら何も心配することはありません。
でも、このおりものが黄色っぽい、あるいは薄緑色をしている場合は、少し注意が必要かもしれません。それは「外陰膣炎」のサインかもしれないからです。外陰膣炎とは、女の子のお股の部分(外陰部)から膣の内側にかけて、菌が入って炎症を起こすことです。この状態のとき、おしっこをするのが痛いと感じることもあります。
もしこれが起こったら、まず大切なのはしっかりと洗うことです。シャワーだけではなく、洗面器に座ってじゃぶじゃぶとお股を洗うと良いでしょう。それでもなお改善しない場合は、抗菌薬の飲み薬や軟膏の使用が必要になります。

記事執筆者

院長 鈴木俊輔

山と空こどもアレルギークリニック院長 鈴木俊輔

学位
  • 医学博士 1556号
  • 2011年4月20日 ロタウイルス感染に伴う中枢神経合併症における髄液サイトカインの検討 (Cerebrospinal fluid cytokine in central nervous system involvement associated with rotavirus infection) 東京医科大学雑誌(0040-8905)69巻2号 Page227-233(2011.04)
資格・所属
  • 日本整形外科学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本小児整形外科学会
  • 日本人工関節学会
標榜科目 小児科・アレルギー科
TEL 042-686-3447
アクセス 〒192-0074 東京都八王子市天神町24-3
プラムフィールド1F
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